鉱物妄想/アナパ石の草原

こちらのブログの「創作物の妄想」カテゴリーは、表ブログには公開できない、新商品の妄想をつらつらメモします。

幼い頃からビー玉や鉱物の欠片などを手に入れると、必ず空に翳す癖があります。
空に翳すと内部に別の世界が拡がって見えるような気がするからです。

鉱物に関しては、じっと見ていると、そこの風景があるものがたくさんあります。
天青石のプールや、螢石の湖。水晶の氷山など……

最近、そんな妄想がひどくなってきたので、これらの妄想を豆本化しようと思い立ちました。
もちろん、豆本カーニバルが近づいているからというのが一番の理由ですが。

第一弾はアナパ石。
この鉱物の詳細に関しては、表ブログにて紹介していますが 。

アナパ石/きらら舎


アナパ石/きらら舎



この夏の猛暑で連日フル稼働させられた研究所のクーラーは、まだ残暑厳しいというのに昨日、とうとうハングアップしてしまった。
クーラーの寿命を人間に換算するなら、200歳近いかもしれない。
修理は諦めて、30度以上ある室内で作業を続けた。
古い紙の資料を床一面に広げているので扇風機は使えない。

古い資料から必要な情報を探し出し、コンピュータに入力していく。
コンピュータも自ら吐き出す熱風によってさらに上がってゆく室温の中、そろそろ調子が悪くなってきたようだ。

ぼくも時々意識が薄れるような気がしてきた。

休憩しようか。

そう思って床から腰を上げた途端、バランスを崩して鉱物標本棚に激しくぶつかってしまった。棚から標本が転がり落ちた。
それを拾って破損がないかを確かめる。

すると、どこからともなく、メンソールの香りを含んだ心地よい風が吹いてきて、次の瞬間、ぼくは緑の草の生い茂る草原に一人たたずんでいた。
風は絶え間なく吹いている。気温はここも高いようだが、この風のせいで体中の汗は一気に引いていく。
草原を少し歩くと崖がそびえて、草原に大きな日陰を作っている場所があった。ぼくは、そこで一休みすることにした。
草の上に横たわると、メンソールの香りはさらに強くなった。
この草がミントなのかな……
そんなことを思いながら、ぼくはいつのまにか眠ってしまった。

柱時計が午后3時を告げる音で目を覚ますと、ぼくは床に散らばった資料の上に横になっていた。
手にはアナパ石の標本を握りしめていた。

夢、か。

どうやら破損もしていないようだ。

あれ。この標本。どこかで見たような気がする。

そんな思いが一瞬頭をかすめたが、それ以上、記憶を詮索することもなく、標本を棚へ戻した。

自分の手や腕にはなぜか、メンソールの香りが付いていた。



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