好きな人

最近になって、突然、母が「ハエトリグサ」がほしいと言い出した。
このことは表ブログ(ハエトリグサ)に書いたのだが、 理由を聞くと、実母が栽培していたのだという。
母の生家は墨田川のほとりの機械屋である。居間から続く土間が店舗で、いくつかの機械が置かれていた。薄暗い部屋に並ぶ何に使うのかわからない、大きな歯車を持つ機械がなんだか好きだった。
店前には道路をはさんでガスタンクがたくさん並んでいて、ゴジラが来たら怖いなあといつも思っていた。
母の母は夫が徴兵され、家計を支えるために家の近くで小さな料理屋をはじめた。

それで蠅を捕る草が必要だったのか・・・どうかはわからない。
実母とは小さなうちに別れて養女となった母も、その記憶から何度かハエトリグサを栽培してみたのだという。
頑張って蠅を捕まえて、長い睫毛のような棘を持った口の中へ押し込んでいたらしい。
(この形ゆえに、英名ではVenus Flytrap、女神の蠅を捕るトラップ(罠)と呼ばれる)
でも、その結果黒くなって枯れてしまうのだという。
最近、ハエトリグサにチーズを与えることがテレビで紹介されたらしい。
それで改めて栽培したいと思ったようだ。

いろいろな生き物に興味があるのは遺伝かもしれないと思った。

幼い頃から家にはいろいろな生き物がいた。
近所の植物の記録もしていた。

大人になって、クラゲのポリプや微生物なども飼い始めた。
小さい頃にはケンミジンコやシーモンキーなども飼ったけれど、そこから卒業できていないことになる。

・・・・・で、好きな人の話。
最初は荒俣宏さん。
博物学をいろいろな視点で紹介している。
ヴンダーカンマーをちゃんと知ったのも荒俣さんからである。
大学時代、澁澤作品にヴンダーカンマーが出てきて、どんなものなんだろうと 思ったまま、大学生はいろいろやることがあるから忘れていたのだが、荒俣さんの著書を読んだり、イベントに 足を運んで、ああ、そういうものなのかと知った。
興味のあることをちゃんと深く調べているところがすごい・・・だから好き。

その後、ウミホタルを飼育し始めて知ったのが阿部勝巳さん。
自然科学系の本は主観を極力抑えて執筆する中、そうではない人。
かなり好きな人である。
ウミホタルのイメージは実は松本清張に発している。海が光り、漁師がそれをウミホタルだといい、この量だとかなり大きな獲物だというくだり。
つまり、ウミホタルが群がっているのが人間の死体だという想像を読者に与えるための部分。
このことがウミホタルの本(『海蛍の光―地球生物学に向けて―』)にも掲載されていた。
ウミホタルの性質と清張の描写の矛盾点を指摘しながら、あるいは描写を検証しながら ウミホタルの性質について書いてある。

それを読むと、ウミホタルは摂食時には光を出さないなどが記載されている。確かにそうだ。
ウミホタルが光る(ルシフェリンとルシフェラーゼを放出する)のは、敵に襲われた時と求愛の時だけだ。
人間の死体を食べながら海の底で光る大量のウミホタル・・・光ったほうがサスペンス要素倍増ではあるが。

死体を食べるウミホタルへの偏見が少しだけとけた。
しかし、ウミホタルはスキャベンジャであり、死体を食べることには変わりないのだが・・・・・

阿部さんの文章は好きで、主観やら文学作品の引用がたくさん入っているので、とても楽しい。文章の向こうに ウミホタルが大好きなおじさんの気配がちゃんとある。
と、本を読んでいたにもかかわらず、今日、チーズ入りはんぺんを買ってしまった。
つまみにもなるかななんて思ったのだ。チーズじゃなくてはんぺん部分を水槽に投与してみた。
沈まない・・・・・そりゃそうだ。
ウミホタルは海面の餌は食べないのにはんぺんを買った失敗にそこで気づく。
砂からわらわらと出てきたウミホタル。海面まで行くのだが、そこに浮かぶはんぺんには喰いつかなかった。
はんぺんは早々に回収し、いつものシラスを投与した。

そろそろ生存が難しい季節になってきたけれど、まだ大きな個体は頑張っている。

さて、次はクラゲの分野で好きな人。
ベニクラゲ研究者の京都大学の久保田信先生。
久保田先生についてはベニクラゲの記事にも書いたのだけれど、ベニクラゲを研究するだけじゃなく、ベニクラゲが好きすぎて、自らベニクラゲマンのコスプレをしたり、ベニクラゲ音頭を作ってしまった。
ベニクラゲの若返りのメカニズムが解明できたら、医療や美容に多大なる貢献をするだろう。
しかし、それだけで研究をしているのではなく、本当にベニクラゲが好きなんだなあと思う。

そういえばびん博士もボトルブルースを歌っている・・・・・

自分が興味の対象を1つに絞れないので、逆に、1つのことを長く深く研究し続ける人を尊敬する。


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